ここで仕事が同じとなるように動作させているので となり、次式が成り立つ。
仕事の大きさが同じになるように動作させている( )ので、次式の関係となる。
この可逆サイクルである熱機関Aと可逆サイクルであるヒートポンプBでは、仕事は熱機関AからヒートポンプBへするため、周囲との仕事のやりとりはない。そのため図1.16-4のようにまとめて一つのサイクルとして考えることができる。高温熱源では、式(1.16)より となり、ヒートポンプとして動作している可逆サイクルBの熱 が大きく、まとめたサイクルから高温熱源へ熱を伝えている。低温熱源では、式(1.17)より となり、ヒートポンプとして動作している可逆サイクルBの熱 が大きく、まとめたサイクルで低温熱源から熱を受け取っている。このように、二つのサイクルを合わせた全体で見ると、低温熱源から熱を受けとり、高温熱源へ熱を渡し、他に何の変化も残していないことになる。これは熱力学第二法則のクラウジウスの原理(1.3節、p. )に反する。よって、可逆サイクルBの熱機関としての効率が可逆サイクルAの熱機関としての効率よりも高くなることはありえない。
可逆サイクルAの熱機関としての効率が可逆サイクルBよりも低いとした場合も、AとBを入れ替えて考え、可逆サイクルBを熱機関、可逆サイクルAをヒートポンプとして動作させると、同様に低温熱源から高温熱源に熱を伝え、他になにも変化を残さないことになる。よって、同様にクラウジウスの原理から、可逆サイクルAの熱機関としての効率が可逆サイクルBの熱機関としての効率よりも高くなることはありえない。
同じ効率であれば、図1.17ように熱の移動がなく熱力学第二法則に反しない。よって、同じ二つの熱源で動作する可逆サイクルは、どんな中身のサイクルでも構成によらず必ず同じ効率となる。