この関数 がどのような関数か明らかにするため、図1.9に示すように、温度 [℃]の熱源と温度 [℃]の熱源で動作する可逆熱機関Aと温度 [℃]の熱源と温度 [℃]の熱源で動作する可逆熱機関B、温度 [℃]の熱源と温度 [℃]の熱源で動作する可逆熱機関Cを考える。このとき熱源の温度の関係は とする。
この場合の各可逆熱機関の効率は可逆熱機関の効率の式(1.9) と式(1.17)から熱源の温度により次のように表される。
が成り立つ。上3式を左辺の高温側熱源から伝わる熱量で割り、それぞれの効率(式(1.18)-式(1.20))を代入し変形すると以下の関係が成り立つ。
式(1.21)-式(1.23)へ式(1.24)を適用すると、それぞれの可逆熱機関での高温熱源からの熱と低温熱源からの熱の大きさの比は次のように温度の関数で表される。
可逆熱機関Bの低温側の熱源へ伝わる熱の大きさ [J]と、可逆熱機関Cの高温側の熱源から伝わる熱の大きさ [J]を、同じ大きさ [J]になるよう 1.12にそれぞれの可逆熱機関を動作させて( )、可逆熱機関Bと可逆熱機関Cを一つの可逆熱機関として動作させる。可逆熱機関Bと可逆熱機関Cの熱量の比の積から、次式の関係が成り立つ。
可逆熱機関Bと可逆熱機関Cを合わせた一つの可逆熱機関として考えると、温度 [℃]の熱源と温度 [℃]の同じ二つの熱源の間で動作する可逆熱機関とみなせるので、可逆熱機関Aと効率は等しくなる。効率が等しいので伝わる熱の大きさの比は可逆熱機関Aと等しく次式が成り立つ。
上式の最左辺と最右辺に式(1.25)、式(1.26)、式(1.27)を代入し温度の関数 で表すと、
となる1.13。ここで、左辺は [℃]を含む関数となっているが、右辺は [℃]と [℃]のみの関数で [℃]の関数ではない。そのため、関数 は左辺で [℃]が消える形の関数である必要がある。積で [℃]が消えるように関数 を、ある温度を表す関数 (ファイ)で以下の形で表す。
熱源の温度と、熱源とやりとりする熱量の関係をまとめると式(1.24)と式(1.30)より次式が成り立つ。