仕事のやりとりがある場合には、系を囲っている壁面の一部が必ず可動壁となる。この外と仕事のやりとりをする例として、図3.1のようにピストン形状の系を考える。ピストンの可動壁に壁を支える支持棒がついていると考え、系の圧力と釣り合うように支持棒に力を加える。仕事のやりとりのない過程では、固定して動かないようにする。通常系の外の空気などの流体によりピストンの外側には圧力が作用するが、ここでは考えやすくするため大気圧のような圧力はなく支持棒のみの力で支えられているとする 3.3。
閉じた系での仕事は圧力と体積の変化から計算できる。 ピストンが系にする仕事 [J]は力 [N]と移動距離 [m]で次式のように定義されている。
ここでは、系にされる仕事を正とし、系の体積が広がる方向にピストンが動く向きを正としているので、上式右辺に負号がついている。 微少な移動距離 での微少な仕事 3.4は次式となる。
周囲との熱のやりとりの際には、周囲を熱源と呼ぶ。熱源の状態を考える条件として、熱力学的平衡状態でなくてはならない(3.1.1節 )ため、熱源はある一定の温度で一様な分布である必要がある。このため熱源の温度はすべて同じある一定の温度である3.5。支持棒で可動壁を支えており系は熱源の圧力の影響を受けない。そのため、熱源で系に影響する条件は温度のみである。