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A.3 熱力学第二法則のトムソンの原理とクラウジウスの原理

トムソンの原理に反する装置が存在するときクラウジウスの原理も成り立たないことと、クラウジウスの原理に反する装置が存在するときトムソンの原理も成り立たないことを示す。図A.3に示すように、一つの熱源から仕事を取り出すトムソンの原理に反する装置(反トムソン機関)とヒートポンプの組み合わせで一サイクル(一周期)運転した際のエネルギーの移動を考える。この時、反トムソン機関とヒートポンプをまとめて一つの装置として考えると、仕事は反トムソン機関からヒートポンプになされ、外部に影響を与えていない。ヒートポンプと反トムソン機関は一サイクルで元の状態に戻る。全体としては、ある温度からそれより高い温度へ熱を移すだけで、他に何の結果も残さないことになるため、クラウジウスの原理に反する。

次に図A.4クラウジウスの原理に反する装置(反クラウジウス機関)と熱機関との組み合わせで一サイクル(一周期)運転した際のエネルギーの移動を考える。高温熱源側では反クラウジウス機関から熱機関に同量の熱を渡し外部に影響を与えていなければ、高温熱源も含めて一つの装置として考えられる。高温熱源では同量の熱をやりとりしており変化はなく、また反クラウジウス機関と熱機関は一サイクルで元の状態に戻るため運転前の状態と変化がない。全体では一つの熱源(低温熱源)のみから熱を取り出して、仕事に変換し他に何の結果も残さないことになるため、トムソンの原理に反する。

図 A.3: 反トムソンの原理から反クラウジウスの原理
\includegraphics[width=75mm]{figures/2ndLawAntiThomson.eps}
図 A.4: 反クラウジウスの原理から反トムソンの原理
\includegraphics[width=75mm]{figures/2ndLawAntiClausius.eps}


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