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物体が保有するエネルギーとして内部エネルギーを考える。物体に仕事が作用した際に物体が固定されており、運動エネルギーも位置エネルギーも変化しない場合にはエネルギーはどこへ行くのだろうか。バットでボールを打つ例の場合で、地面に置いてあるボールをバットで叩き跳ねないように抑えつけたとしよう。バットによってボールに仕事がされる。しかし抑えつけられたボールは動けないために運動エネルギーも位置エネルギーも変化しない。仕事によりボールに与えられたエネルギーはどこへ行ったのだろう。この時の仕事はボールの変形・復元により内部エネルギーへと変換される。仕事をされた際に変換される運動エネルギーと位置エネルギーではない保有エネルギーを内部エネルギーと呼ぶ。(1.2)は内部エネルギー
[J]
を含め次のようになる。
この時、ボールと周囲(バットを含む)とは同じ温度であり、仕事以外にエネルギーの作用がない断熱状態であるとする。よく熱力学で用いられる例として、ジュールの水槽の中に羽根車を入れて、羽根車を回転させ水に仕事をする実験[#!1850Joule!#]が挙げられる。このとき、羽根車によって仕事をされた水槽の水は動き出すが、羽根車を止めた後に十分に長い時間待てば水は静止する。静止した水は羽根車が回る前の水と運動エネルギー、位置エネルギー共に変化していない。羽根車から水に作用した仕事により水の内部エネルギーが変化する。
内部エネルギーは系の保有するエネルギーであり、ある系が保有するエネルギーはその系がどのような状態にあるか分かれば決まる値である。
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