仕事のやりとりがある場合には、系を囲っている壁面の一部が必ず可動壁となる。この周囲との仕事のやりとりをする場合の例として、図1.2のようにピストン形状の系を考える。可動壁には壁を支える支持棒がついており、系の圧力と釣り合うように支持棒に力を加える。仕事のやりとりのない過程では、可動壁を固定して動かないようにする。通常周囲の空気などにより大気圧が作用するが、ここでは大気圧のような圧力はなく支持棒のみに力がかかっていると考える 1.7。
周囲との熱のやりとりの際には、周囲を熱源と呼ぶ。熱源の状態を考える条件として、熱力学的平衡状態でなくてはならない(1.4.1節、p. )ため、熱源はある一定の温度で一様な分布である必要がある。このため熱源の温度はすべて同じ、ある一定の温度である1.8。支持棒で可動壁を支えており系は熱源の圧力の影響を受けない。そのため、熱源で系に影響する条件は温度のみである。