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1.4.4 サイクルでの過程

サイクルで行われる過程のうち、特徴的な過程をいくつか示す。過程は必ず熱力学的平衡となってから終わり、変化の途中は扱わない。
断熱過程

 系と周囲で熱のやりとりのない状態で可動壁を動かし(圧縮または膨張)、仕事のみやりとりする過程。

図 1.3: 等積過程
\includegraphics[width=120mm]{figures/PistonWorkHeatProcessesAdiabatic.eps}

等積過程

 可動壁を固定し系の体積が変化しない(仕事のやりとりがない)状態で、周囲(熱源)と熱のみやりとりをする過程(図1.4)。この過程では系と周囲(熱源)の温度が異なり、高温側から低温側へと熱が伝わる。過程の始めと終わりの状態は熱力学的平衡状態でなくてなはらない(1.4.1節、p. [*])。始めに熱力学的平衡状態の系を熱源に接触させ、熱が伝わり系の温度が変わる不可逆の過程(系と周囲で熱平衡が成り立たない)を経て、(過程が終わる前に系と熱源を離し)系内部が熱力学的平衡となってから過程が終了する。

図 1.4: 等積過程
\includegraphics[width=120mm]{figures/PistonWorkHeatProcessesIsometric.eps}

等温過程

 系と周囲(熱源)の温度が過程の始めと終わりで等しい過程で、系と周囲で仕事と熱どちらもやりとりがある(図1.5)。周囲の熱源の温度は常に一定の温度である 1.9。始めの状態から系が仕事をされ圧縮されると、温度が上昇し熱源よりも温度が高くなるため、熱が熱源へと伝わる。この時は仕事が系にされ、熱は系から周囲へ伝わる。また、始めの状態から系が周囲に仕事をして膨張すると、温度が低下し熱源よりも温度が低くなるため、熱が熱源から系へと伝わる。この時は系は周囲に仕事をし、周囲から熱が伝わる。系の圧縮や膨張(仕事の作用)が終わると熱源とやりとりがなくなる。その後、系と熱源が熱平衡となり系内部も熱力学的平衡となった後に過程が終了する。

図 1.5: 等温過程
\includegraphics[width=120mm]{figures/PistonWorkHeatProcessesIsothermal.eps}

等圧過程

 系にかかる圧力を一定とし、系と周囲で仕事と熱どちらもやりとりがある過程(図1.6)。かかる圧力を一定とし熱力学的平衡状態の系を温度の異なる熱源に接触させる。熱源の温度が系よりも高い場合は、系に熱が伝わり系の温度が上昇し圧力が高くなり膨張することで周囲に仕事をする。この場合では系は熱を受け仕事を周囲にする。熱源の温度が系よりも低い場合は、系から周囲に熱が伝わり系の温度が低下し圧力が低くなり収縮することで周囲から仕事をされる。この場合は周囲に熱を伝え系は仕事をされる。(過程が終わる前に系と熱源を離し)系内部が熱力学的平衡となってから過程を終了する。

図 1.6: 等圧過程
\includegraphics[width=120mm]{figures/PistonWorkHeatProcessesIsobar.eps}

上記の過程を組み合わせることで、熱機関やヒートポンプのサイクルを構成することができる。変わった過程として付録B.1(p. [*])に示す自由膨張過程がある。



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