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1.4.4 サイクルでの過程
サイクルで行われる過程のうち、特徴的な過程をいくつか示す。過程の初めと終わりは必ず熱力学的平衡であり、変化の途中は扱わない。系の温度を
[℃]、圧力を
[Pa]、体積を
[m
]、内部エネルギーを
[J]、伝わった熱を
[J]、やりとりした仕事を
[J]とする。
熱力学第一法則の式(1.7)から内部エネルギーの変化を知ることができる。
- 断熱過程
-
系と周囲で熱のやりとりのない状態で可動壁を動かし(圧縮または膨張)、仕事のみやりとりする過程。図1.3に示すように、膨張過程では体積が増加し周囲にした仕事と同量の内部エネルギーが減少するため温度が低下する。温度が低下し体積が増える過程では通常圧力は低下する(状態方程式による)。また、圧縮過程では体積が減少し周囲から仕事をされるため内部エネルギーが同量増加するめ温度が上昇する。温度が上昇し体積が減る過程では通常圧力は上昇する(状態方程式による)。
- 等積過程
-
可動壁を固定し系の体積が変化しない(仕事のやりとりがない)状態で、周囲(熱源)と熱のみやりとりをする過程(図1.4)。この過程では系と周囲(熱源)の温度が異なり、高温側から低温側へと熱が伝わる。始めに熱力学的平衡状態の系を熱源に接触させ、非平衡で熱が伝わり系の温度が変わる不可逆の過程(系と周囲で熱平衡が成り立たない)を経て、(過程が終わる前に系と熱源を離し)系内部が熱力学的平衡となってから過程が終了する
1.9。
加熱過程では加えられた熱と同じ量だけ内部エネルギーが増加するため温度が上昇する。体積が一定で温度が上昇する過程では通常圧力も上昇する(状態方程式による)。系より周囲(熱源)の温度が高く、系は熱源から熱を受け取る。
冷却過程では奪われた熱と同じ量だけ内部エネルギーが減少するため温度が下がる。体積が一定で温度が低下する過程では通常圧力も低下する(状態方程式による)。系より周囲(熱源)の温度が低く、系は熱源から熱を奪われる。
- 等温過程
-
系と周囲(熱源)の温度が過程の始めと終わりで等しい過程で、系と周囲で仕事と熱どちらもやりとりがある(図1.5)。周囲の熱源の温度は常に一定の温度である
1.10。
始めの状態から系が仕事をされ圧縮されると、温度が上昇し熱源よりも温度が高くなるため、熱が熱源へと伝わる。この時は仕事が系にされ、熱は系から周囲へ伝わる。温度が一定で体積が増加すると一般的に圧力は低下する(状態方程式による)。
また、始めの状態から系が周囲に仕事をして膨張すると、温度が低下し熱源よりも温度が低くなるため、熱が熱源から系へと伝わる。この時は系は周囲に仕事をし、周囲から熱が伝わる。温度が一定で体積が減少すると一般的に圧力は上昇する(状態方程式による)。
系の圧縮や膨張(仕事の作用)が終わると熱源とやりとりがなくなる。その後、系と熱源が熱平衡となり系内部も熱力学的平衡となった後に過程が終了する。
- 等圧過程
-
系にかかる圧力を一定とし、系と周囲で仕事と熱どちらもやりとりがある過程(図1.6)。かかる圧力を一定とし熱力学的平衡状態の系を温度の異なる熱源に接触させる。
熱源の温度が系よりも高い場合は、系に熱が伝わり系の温度が上昇し圧力がわずかに周囲より高くなり膨張することで周囲に仕事をする。この場合では系は熱を受け仕事を周囲にする。
熱源の温度が系よりも低い場合は、系から周囲に熱が伝わり系の温度が低下しわずかに周囲より圧力が低くなり収縮することで周囲から仕事をされる。この場合は周囲に熱を伝え系は仕事をされる。
(過程が終わる前に系と熱源を離し)系内部が熱力学的平衡となってから過程を終了する。
上記の過程を組み合わせることで、熱機関やヒートポンプのサイクルを構成することができる。変わった過程として付録B.2(p. )に示す自由膨張過程がある。
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