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3.2.2 閉じた系での可逆サイクルの過程(カルノーサイクル)
二つの熱源で動作する閉じた系での可逆のサイクルの過程を考える。可逆サイクルは全く同じ変化で、動作する向きを変えることで熱機関とヒートポンプの両方として動作できなくてはならない(熱機関を逆に動作させるとヒートポンプとして動作し、ヒートポンプを逆に動作させると熱機関として動作する)。3.1.5節
での断熱過程と等積過程から成り立つサイクルを例に考えてみる。このサイクルを熱機関として動作させた場合とヒートポンプとして動作させた場合の温度変化は、図3.8
と図3.13
であり、まとめて書くと図3.15のようになる。また、熱機関とヒートポンプの熱源との温度の関係を図3.16に示す。図3.15と図3.16中の過程の番号は対応している。
図 3.15:
熱機関とヒートポンプにおける温度変化
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図3.15、図3.16に示すように、熱機関は高温熱源から熱を受け取り低温熱源に熱を与えるため、高温熱源側ではサイクルは高温熱源よりも温度が低く、低温熱源側では低温熱源よりも温度が高くならなくてはならない。また、ヒートポンプでは高温熱源へ熱を与え低温熱源から熱を受け取るため、高温熱源側ではサイクルは高温熱源よりも温度が高く、低温熱源側では低温熱源よりも温度が低くならなくてはならない。
図 3.16:
熱機関とヒートポンプにおける熱源との温度の関係
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可逆のサイクルでは、全ての過程を逆向きにも動作させることができなくてはいけないが、熱源との温度の関係が熱機関とヒートポンプでは異なる。高温熱源よりもサイクルの温度が高い場合、熱機関として動作した際に熱源から熱を受け取ることが出来ない(図3.15の過程4→3)。また、高温熱源よりもサイクルの温度が低い場合、ヒートポンプとして動作した際に熱源に熱を与えることが出来ない(図3.15の過程3→4)。そのため図3.17の過程3→4のようにサイクルが熱源と同じ温度で、熱機関では高温熱源から熱を受け取り、ヒートポンプでは同じ高温熱源へ熱を与える過程を考えなくてはいけない。つまり可逆のサイクルとなるためには図3.15の熱機関の線とヒートポンプの線が重ならなくてはいけない。準静的過程で状態が熱平衡のまま限りなくゆっくり変化すれば、この熱のやりとりが可能である。
このことから、可逆サイクルでは、高温熱源と低温熱源との熱交換する過程1→2と過程3→4は準静等温過程でなくてはならない。熱源と熱のやりとりをすると準静等温過程以外では不可逆となるため、温度の変わる過程である図3.17の過程2→3と過程4→1での過程は熱のやりとりのない断熱過程である必要がある。
以上から、二つの熱源で動作する閉じた系での可逆サイクルは準静等温過程→可逆断熱過程→準静等温過程→可逆断熱過程で構成することができる。この可逆サイクルをカルノーサイクルと呼ぶ。
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