サイクルの中でも熱機関やヒートポンプとしては動作せず、何も起こらない図B.4のようなサイクルもあり得る。 ピストンを押し、周囲に熱を伝える(状態1から状態2)。その後、元の状態までピストンを引き、周囲から熱を奪う(状態2から状態1)。
この時の圧力と温度の変化を考えよう。押すときに内部の圧力が上昇し(1→2)、引くときに内部の圧力が減少する(2→1)(図B.5)。周囲に熱が伝わり温度が下がることにより体積が減少し圧縮され(1→2)、まわりから熱を受け取り温度が上がることにより体積が増加し膨張する(2→1)(図B.6)。 この時の仕事と伝わった熱量について考える。ピストンに入るエネルギーを正とし、出るエネルギーを負とすると、状態1から状態2に変化した時の内部エネルギーの変化量 12 [J]と周囲とやりとりした熱量 12 [J]、仕事 12 [J]の関係は式(1.7) より以下のようになる。
同様に式(1.7)より状態2から状態1に変化したときは次式となる。
再度状態1に戻って来た時、内部エネルギーは初めの状態1の値と等しくなるので、状態1から状態2への変化量と状態2から状態1への変化量の和はゼロとなる。
よって、熱量と仕事の関係は
12122121 | (B.2) |
また同様に状態2から状態1での仕事 21 [J]は
となる。状態1から状態2での力の変化と状態2から状態1での力の変化が同じように変化するとすれば、
1221 | (B.3) |
1221 | (B.4) |