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1.5.2 可逆サイクルの効率と不可逆サイクルの効率の比較
先に示した熱機関とヒートポンプどちらとしてでも動作できる可逆サイクルの効率が、不可逆のサイクルの効率よりも必ず高くなることを示す。まず可逆サイクルの熱機関と不可逆サイクルの熱機関の比較をする。不可逆サイクル熱機関Aと可逆サイクル熱機関Bを考える。ここで、不可逆の熱機関Aの効率
[-]が可逆サイクル熱機関Bの効率
[-]よりも高いと仮定しよう(図1.18-1)。
効率の関係の式(1.12)(p. )から、次式が成り立つ。
可逆サイクル熱機関Bは可逆であるのでヒートポンプとしても動作できる(図1.18-2)ので、不可逆の熱機関Aが周囲に受け渡す仕事と同じだけ仕事を受け取る(
)ヒートポンプとして動作させる(図1.18-3)と次式が成り立つ。
エネルギーの保存式(1.11)と式(1.13)と、仕事の大きさの関係(
)から、
となり、図1.18-4のように周囲になにも変化を残さず、低温熱源から
[J]または
[J]を高温熱源へ伝えることが出来てしまう。よって可逆サイクルよりも効率の良い不可逆サイクルの熱機関は熱力学第二法則クラウジウスの原理(1.3節、p. )に反する。このことから可逆サイクルの効率が必ず高くなるといえる。
図 1.18:
可逆サイクルと不可逆サイクルの比較
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不可逆の熱機関Aの効率
[-]が可逆サイクル熱機関Bの効率
[-]よりも低い場合には熱力学第二法則に反することはない(付録B.4 p. 参照)。
ヒートポンプである不可逆サイクルBと可逆サイクルAを比較する。ここで、不可逆のヒートポンプBとしての効率が可逆サイクルのヒートポンプとしての効率よりも高いと仮定する(図1.19-1)。
式(1.14)(p. )より次式が成り立つ。
可逆サイクルヒートポンプAは可逆であるので熱機関としても動作できる(図1.19-2)ので、不可逆のヒートポンプBと同じ大きさの仕事で(
)熱機関として動作させる(図1.19-3)と次式が成り立つ。
この場合も先ほどと同様、周囲になにも変化を残さず、低温熱源から
( =
)を高温熱源へ伝えることが出来てしまう(図1.19-4)。よって可逆サイクルよりも効率の良い不可逆サイクルのヒートポンプは熱力学第二法則クラウジウスの原理に反する。
図 1.19:
可逆サイクルのヒートポンプと不可逆サイクルのヒートポンプの比較
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以上のように、熱機関としてもヒートポンプとしても同じ効率で動作できる可逆サイクルの効率よりも不可逆サイクルの効率が高いと熱力学の第二法則クラウジウスの原理に反する。このことから、同じ二つの熱源間で動作する可逆サイクルの効率は必ず不可逆サイクルの効率よりも高くなる。
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