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3.5.4 解答

  1. エントロピーの変化は式(3.6) $ ^{\text{p.\pageref{eq-EntropyDelta}}}$ により表されるので熱が奪われる物体Aのエントロピー変化 $ \Delta S_A$ は次式で表される。

    $\displaystyle \Delta S_A = \dfrac{-Q}{\varTheta_A}
$

    熱が与えられる物体Bでは次式となる。

    $\displaystyle \Delta S_A = \dfrac{Q}{\varTheta_B}
$

    全体のエントロピーの変化 $ \Delta S_{all}$ は物体Aと物体Bの変化を足せばよいので次式となる。

    $\displaystyle \Delta S_{all} = \Delta S_A + \Delta S_B = \dfrac{-Q}{\varTheta_A} + \dfrac{Q}{\varTheta_B}
$

    ここで準静等温過程では熱が伝わる物体間には温度差がないので $ \varTheta_A = \varTheta_B$ となる。上式に代入すると次式が得られる。

    $\displaystyle \Delta S_{all} = \dfrac{-Q}{\varTheta_A} + \dfrac{Q}{\varTheta_A} = 0
$

    以上のように、可逆過程である準静等温過程では全体のエンタルピーは変化しない。

  2. 前問と同様にエントロピーの変化は式(3.6) $ ^{\text{p.\pageref{eq-EntropyDelta}}}$ により表されるので熱が奪われる物体Aのエントロピー変化 $ \Delta S_A$ は次式で表される。

    $\displaystyle \Delta S_A = \dfrac{-Q}{\varTheta_A}
$

    熱が与えられる物体Bでは次式となる。

    $\displaystyle \Delta S_A = \dfrac{Q}{\varTheta_B}
$

    全体のエントロピーの変化 $ \Delta S_{all}$ は物体Aと物体Bの変化を足せばよいので次式となる。

    $\displaystyle \Delta S_{all} = \Delta S_A + \Delta S_B = \dfrac{-Q}{\varTheta_A} + \dfrac{Q}{\varTheta_B}
$

    ここで、熱は温度の高い物体から低い物体に伝わるので $ \varTheta_A > \varTheta_B$ となる。このことと上式より次の関係が成り立つ。

    $\displaystyle \Delta S_{all} = \dfrac{-Q}{\varTheta_A} + \dfrac{Q}{\varTheta_B} > 0
$

    以上のように、通常の熱が伝わる不可逆過程では全体のエントロピーは増加する。


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