図3.5のような可動壁で囲われた系では、エンタルピーを用いると計算が便利である。圧力 [Pa]の等圧環境では系の体積変化 [m ]により、仕事 [J]は次式で表される。
上式において、左辺は仕事をされる圧縮過程で正としており、右辺の体積変化は圧縮過程で負 3.12であるため、右辺にマイナスをつけることで左辺と右辺で符号をあわせる。上2式から等圧環境で可動壁を持つ系に熱 [J]を与えた場合の変化は次式で表される。
とすると、変化量 [J]は次のようになる。等圧変化であれば、 [Pa]は から外すことができる3.13。
上式を式(3.9)へ代入すると、大気圧で可動壁に囲まれた系のような等圧過程に必要な熱は次式のようにエンタルピーの差のみで表すことが出来る。
大気中で可動壁を持つある系を、状態1から状態2へ変化させたいときに、必要な加熱量をエンタルピーを用いることで上式より簡単に求めることができる。また、可動壁を持つ系の中で燃焼のような発熱が起こるとき、圧力ごとのエンタルピーの変化量が分かっていれば、得られる熱量を簡単に知ることができる。