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体積が一定の状態で系に熱を加えると、加えた熱のエネルギー分だけ系の内部エネルギーが増える。しかし、系が体積一定ではなくピストンのような可動壁で周囲と隔てられている場合は、図4.2のように熱を加えると系は膨張する。膨張で外へ仕事をする分、体積一定での変化よりも内部エネルギーの変化量は小さくなる。また系が熱を奪われた場合、系は圧縮され周囲から仕事をされるため内部エネルギーの減少量は小さくなる。可動壁を持つ系では、加えられた熱のエネルギー
[J]の一部は必ず周囲に仕事
[J]として作用し内部エネルギーの増加量
[J]との和が加えられた熱のエネルギーと等しい(式(1.5)
)ことから次式のように表される。
図4.2のような可動壁で囲われた系では、エンタルピーを用いると計算が便利である。圧力
[Pa]の等圧環境では系の体積変化
[m
]により、仕事
[J]は次式で表される。
上式において、左辺は仕事をされる圧縮過程で正としており、右辺の体積変化は圧縮過程で負
4.10であるため、右辺にマイナスをつけることで左辺と右辺で符号をあわせる。上2式から等圧環境で可動壁を持つ系に熱
[J]を与えた場合の変化は次式で表される。
ここでエンタルピー
[J]を
とすると、変化量
[J]は次のようになる。等圧変化であれば、
[Pa]は
から外すことができる4.11。
const.
上式を式(4.9)へ代入すると、大気圧で可動壁に囲まれた系のような等圧過程に必要な熱は次式のようにエンタルピーの差のみで表すことが出来る。
const.
大気中で可動壁を持つある系を状態1から状態2へ変化させたいときに、必要な加熱量をエンタルピーを用いることで上式より簡単に求めることができる。また、可動壁を持つ系の中で燃焼のような発熱が起こるとき、圧力ごとのエンタルピーの変化量が分かっていれば得られる熱量を簡単に知ることができる。
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