熱の伝わり(伝熱)
仕事の作用がなくても系の周囲の温度が系と異なれば、系の温度と周囲の温度が変化し近づいていくことを我々は経験的に知っている。このとき、系の温度が変わっているので系の内部エネルギーも変化している。この温度差により伝わるエネルギーを熱と呼ぶ。
熱は温度差のある物体間で伝わる。図1.14のように温度
[℃またはK]の高温の物体と温度
[℃またはK]の低温の物体(
)を接触させた際に、高温の物体から低温の物体に伝わるエネルギーが熱[J]である。高温の物体の温度は低下し(図1.14では
[℃またはK]から
[℃またはK]、
)、低温の物体の温度は上昇する(図1.14では
[℃またはK]から
[℃またはK]、
)。熱は仕事と同様に物体から物体へ伝わるエネルギーの形態である。温度の異なる物体を十分に長い時間接触させると、二つの物体の温度は等しくなる。この状態を熱平衡状態と呼ぶ。
仕事が作用しない場合に伝わった熱
1J (単位:無次元)
[J]
は内部エネルギー
1J (単位:無次元)
[J]
となり次式で表される。
伝わった熱は内部エネルギーに変換され仕事や位置エネルギー、運動エネルギーになることはない。この熱の伝わりも、時間を逆に進めた現象(低温から高温に熱が伝わる)はありえないので、不可逆な現象である。
仕事が作用しない系で、位置エネルギーと運動エネルギーが変化しない条件下での、内部エネルギーの変化が熱の作用である。熱が伝わる際には温度差があり、熱は温度の高いところから低いところへ伝わる。
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