まとめると条件として次のような仮定がおかれている。
この条件から出口での断熱飽和温度(湿球温度)の関係を求めるために、空気側と水側のエネルギーの保存式をそれぞれ立てる。 空気側は入口と出口でのエネルギーの流出入を空気の質量流量 1kg/s (単位:無次元) [kg/s] と空気の比エンタルピー 1J/kg (単位:無次元) [J/kg] の積で、入口から出口までの空気から水への伝熱量を 1J/s (単位:無次元) [J/s] で、水面からの水蒸気の流入のエネルギーを蒸発する水蒸気の質量流量 1kg/s (単位:無次元) [kg/s] と水蒸気の比エンタルピー 1J/kg (単位:無次元) [J/kg] の積で求め次式となる。
水側は空気との伝熱、空気側への水蒸気の流出、水の供給による流入のエネルギーで次式となる。 上式において水と水蒸気のエンタルピー差 は水の蒸発潜熱であり、条件4から であるので水と空気の伝熱と水の蒸発潜熱が等しくなっている( )ことがわかる。 式(11)と式(12)を足し合わせると次式のように全体のエネルギーの保存式となる。このエネルギーの保存式を変形して出口での断熱飽和温度(湿球温度)と湿度との関係を求める。空気の流入するエンタルピーは乾燥空気と水蒸気のエンタルピーの和と等しい | ||
また、水蒸気の質量流量は乾燥空気の質量流量と絶対湿度の積 である | ||
乾燥空気は途中で出入がないため質量流量は入口と出口で等しいのでともに で表す | ||
水の供給流量は出入口の水蒸気の質量流量の差と等しい | ||
で式全体を割る | ||
水の温度は空気の出口温度と等しい(条件3) | ||
乾燥空気のエンタルピー差は乾燥空気の等圧比熱 かける温度差で表される | ||
(13) |
出口では条件より相対湿度は100 %であるので として式(5)より次式(14)が得られる。
式(13)において出口温度が湿球温度、入口温度が気温(乾球温度)であり、が求めたい絶対湿度である。(14)を代入して次式が得られる。
飽和空気の水蒸気分圧 は式(10)で示したように次式のようにの関数として表すことができる。次式を上式(15)の へ代入すれば、をとのみから求めることができる(ここでは長くなりすぎるので代入はしない)。この湿球温度である断熱飽和温度は通風冷却塔において得られる水の最低温度としても計算に使われる。これは上で説明した水路のモデルで空気側ではなく水側に注目し、最も冷やされる空気が飽和状態(相対湿度100 %)となるまで冷えた場合と捉えている。
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