熱伝導率と熱拡散率の関係を想像しやすいように、熱と温度を水槽に貯まる水の量と水位に例える。図1のように細長い水槽が並んでいて左から水が入り、水槽の間の壁には穴があいていて隣の水槽に水が流れ込む水槽の列を考える。
流れてくる水の量が伝熱量(伝わる熱の量)に、水槽の水位の変化が温度の変化に対応する。水槽の奥行きが密度ρ [kg/m3]×比熱cp [J/(kg K)]に対応し、奥行きが深いと水が貯まっても水位は変化しづらい(密度×比熱が大きいと熱が伝わっても温度が変わりにくい)。温度差が増えると伝わる熱の量も増えるように、水位の差が大きいと流れ込む水の量も増える。
熱伝導率は温度差(温度勾配)に対しての熱の伝わりやすさであり、水槽で考えると水位差に対してどれだけ水が流れ込むか、すなわち水槽の間の穴の数(大きさ)となる。それに対して熱拡散率(温度伝導率)は熱伝導率を密度×比熱で割った値であり温度の伝わりやすさを表す。水槽であれば水位の変わりやすさであり、穴の数(大きさ)を水槽の奥行きで割った値である。穴の数が多くても水槽の奥行きが深ければ、水が多く流れ込んでも水位の変化が小さい、すなわち熱伝導率が大きくても密度×比熱が大きければ温度変化は小さい。
熱伝導率は水槽の例だと水の流れるやすさであり、すなわち熱の伝わりやすさを表しているのに対して、熱拡散率は水位の変化のしやすさ、すなわち温度変化の伝わる速度を表している。
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