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同じ組み合わせの一定温度の熱源二つで動作する可逆熱機関(可逆ヒートポンプ)は、どんな熱機関やヒートポンプでも必ず同じ効率となり構成によらない(1.4.4節
)。では、同じ組み合わせの熱源でなく異なる組み合わせの熱源で動作する可逆熱機関(可逆ヒートポンプ)での効率ではどうなるだろうか。一定温度の熱源二つの組み合わせが決まれば効率は可逆熱機関(可逆ヒートポンプ)の構成にはよらないので、効率を決める要素は二つの熱源の条件だけである。熱源と系は熱のやり取りしかしなく熱のやり取りに影響するのは温度のみであるので、可逆熱機関(可逆ヒートポンプ)の効率を決める条件は二つの熱源の一定の温度の組み合わせのみである。よって温度
1
[℃またはK]の熱源1と温度
2
[℃またはK]の熱源2(
12
)で動作する可逆熱機関(可逆ヒートポンプ)の効率は二つの熱源の温度(
1
[℃またはK]、
2
[℃またはK])の関数となる1.15。
この関数
12
がどのような関数か明らかにするため、図1.9に示すように、温度
H
[℃またはK]の熱源と温度
L
[℃またはK]の熱源で動作する可逆熱機関Aと、温度
H
[℃またはK]の熱源と温度
M
[℃またはK]の熱源で動作する可逆熱機関B、温度
M
[℃またはK]の熱源と温度
L
[℃またはK]の熱源で動作する可逆熱機関Cを考える。このとき熱源の温度の関係は
HML
とする。
この場合の各可逆熱機関の効率は可逆熱機関の効率の式(1.9)
と式(1.17)から熱源の温度により次のように表される。
ここで熱力学第一法則、式(1.8)
より
が成り立つ。上3式を左辺の高温側熱源から伝わる熱量で割り、それぞれの効率(式(1.18)-式(1.20))を代入し変形するとそれぞれ以下の関係が成り立つ。
ここで上3式の最右辺は二つの熱源の温度のみの関数である。そこで、次式のような関数
12
をおく。
式(1.21)-式(1.23)へ式(1.24)を適用すると、それぞれの可逆熱機関での高温熱源からの熱と低温熱源からの熱の大きさの比は次のように温度の関数で表される。
可逆熱機関Bの低温側の熱源へ伝わる熱の大きさ
B, M 可
[J]と、可逆熱機関Cの高温側の熱源から伝わる熱の大きさ
C, M 可
[J]を、同じ大きさ
M 可
[J]になるよう
1.16にそれぞれの可逆熱機関を動作させて(
B, M 可C, M 可M 可
)、可逆熱機関Bと可逆熱機関Cを一つの可逆熱機関として動作させる。可逆熱機関Bと可逆熱機関Cの熱量の比の積から、次式の関係が成り立つ。
可逆熱機関Bと可逆熱機関Cを合わせた一つの可逆熱機関として考えると、温度
H
[℃またはK]の熱源と温度
L
[℃またはK]の同じ二つの熱源の間で動作する可逆熱機関とみなせるので、可逆熱機関Aと効率は等しくなる。効率が等しいので伝わる熱の大きさの比は可逆熱機関Aと等しく次式が成り立つ。
式(1.28)と式(1.29)から次の関係が成り立つ。
上式に式(1.25)、式(1.26)、式(1.27)を代入し温度の関数
で表すと、
となる1.17。ここで、左辺は
M
[℃またはK]を含む関数となっているが、右辺は
H
[℃またはK]と
L
[℃またはK]のみの関数で
M
[℃またはK]の関数ではない。そのため、関数
は左辺で
M
[℃またはK]が消える形の関数である必要がある。積で
M
[℃またはK]が消えるように関数
を、ある温度の関数
(ファイ)で以下の形で表す。
上式のように関数
が温度の商の関数だと、次式のように
M
[℃またはK]が左辺から消える。
熱源の温度と、熱源とやりとりする熱量の関係をまとめると式(1.24)と式(1.30)より次式が成り立つ。
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