同じ組み合わせの熱源でなく異なる組み合わせの熱源で動作する可逆サイクルでの効率はどうなるだろうか。三つの熱源と可逆サイクルを考え、熱の比を表す関数
がどのような関数か明らかにする。図2.9に示すように、温度
[℃またはK]の熱源と温度
[℃またはK]の熱源で動作する可逆サイクルAと、温度
[℃またはK]の熱源と温度
[℃またはK]の熱源で動作する可逆サイクルB、温度
[℃またはK]の熱源と温度
[℃またはK]の熱源で動作する可逆サイクルCを考える。このとき熱源の温度の関係は
とする。
温度の関数
を明らかにするため、それぞれの可逆サイクルと熱源との熱の大きさの関係を用いる。可逆サイクルBの低温側の熱源へ伝わる熱の大きさ
[J]と、可逆サイクルCの高温側の熱源から伝わる熱の大きさ
[J]を、同じ大きさ
[J]になるよう
2.9にそれぞれの可逆熱機関を動作させて(
)、図2.9の黄色の点線で示すように可逆サイクルBと可逆サイクルCを合わせて一つの可逆サイクルとして考える(黄色の点線で囲んだ合わせたサイクルは、温度
の熱源と
、温度
の熱源と
の熱交換をしている)。
可逆サイクルBと可逆サイクルCを合わせたサイクルと、可逆サイクルAは、ともに温度
[℃またはK]と温度
[℃またはK]の同じ二つの熱源の間で動作する可逆サイクルとみなせるので熱の比は等しく次式が成り立つ。
上式(2.7)の左辺の分子と分母に
をかけると次の関係が成り立つ。
上式左辺は可逆サイクルBの熱の比と可逆サイクルCの熱の比の積となっている。右辺は可逆サイクルAの熱の比であるので、両辺をそれぞれ温度の関数(式(2.6))で次式のように表す事ができる2.10。
この式から関数がどのような関数かを考える。上式で、左辺は
[℃またはK]を含む関数となっているが、右辺は
[℃またはK]と
[℃またはK]のみの関数で
[℃またはK]を含んでいない。そのため、関数は左辺の積の計算で
[℃またはK]が消える形の関数である必要がある。左辺の積の計算で
[℃またはK]が消える関数として、次式のような、ある温度の関数(ファイ)で表される形がある。
上式のように関数が温度の商の関数だと、次式のように
[℃またはK]が左辺から消える。
このように関数が温度の商の関数であることが分かった。熱源の温度と、熱源とやりとりする熱量の関係をまとめると式(2.6)と式(2.8)より次式が成り立つ。
脚注
- 2.9
-
伝わる熱の大きさを同じにするように、可逆サイクルBと可逆サイクルCを複数個一緒に動作させ、それぞれの可逆サイクルの数を調整する。複数の可逆サイクルを一つの可逆サイクルとして考えれば、伝わる熱の大きさを等しくすることが出来る。
- 2.10
- ここで関数(関数)が温度によらず一定であると成り立たないため、関数(関数)は定数ではない。
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