可逆サイクルの効率が高い場合

可逆熱機関の効率が不可逆熱機関の効率よりも低いと熱力学第二法則に反することを前節(B.4.2 $^{\text{p.\pageref{sec-ReversibleIrreversibleCycleEfficiency}}}$)に示した。 ここでは不可逆の熱機関Eの効率 $\eta_\mathrm{E, 不 }$[-]が可逆熱機関Rの効率 $\eta_\mathrm{R, 可}$[-]よりも低い場合には熱力学第二法則に反しないことを示す(図B.8)。

$\displaystyle \eta_\mathrm{E不}$ $\displaystyle < \eta_\mathrm{R可}$    

式(1.25) $^{\text{p.\pageref{eq-EfficiencyPump}}}$より次式が成り立つ。

$\displaystyle \frac{ \vert W_\mathrm{E} \vert }{ \vert Q_\mathrm{E, H} \vert }$ $\displaystyle < \frac{ \vert W_\mathrm{R} \vert }{ \vert Q_\mathrm{R, H} \vert }$    

不可逆の熱機関Eは逆にヒートポンプとして動作させることはできない。可逆サイクルRはヒートポンプとしても動作できるので、不可逆の熱機関Aと同じ大きさの仕事で( $\vert W_\mathrm{E}\vert = \vert W_\mathrm{R}\vert$)ヒートポンプとして動作させる(図B.8-右)と次式が成り立つ。

$\displaystyle \vert Q_\mathrm{H, E} \vert > \vert Q_\mathrm{H, R} \vert$    

全体として高温熱源から低温熱源に熱が伝わっている(図B.8-右)ので、熱力学第二法則に反しない。

図 B.8: 可逆サイクルと不可逆サイクルの比較
\includegraphics[width=150mm]{figures/RevIrrevEngineRight.pdf}

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