next up previous
Next: A. おまけ Up: 2.3 詳細な性質 Previous: 2.3.1 線形-対数 片対数グラフ

2.3.2 対数-対数 両対数グラフ

対数-対数グラフで直線で表された次のべき関数の式を基本とする。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 x ^2$ (3)

$ x$ 方向に10ずらした式(10)、$ y$ 方向に20ずらした式(11)、定数をそれぞれ変えた式(12)と式(13)がどう変わるか見ていく。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 (x - 10)^2$ (10)
$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 x^2 + 2000$ (11)
$\displaystyle y$ $\displaystyle = 1.3 x^2$ (12)
$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 x^3$ (13)

式(10)を変形する。 $ x = 10 ^X、 y = 10 ^Y$ を代入し、両辺の10の対数を取る。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 (x - 10)^2$    
$\displaystyle 10 ^Y$ $\displaystyle = 0.8 (10^X - 10)^2$    
$\displaystyle \log_{10} 10 ^Y$ $\displaystyle = \log_{10} \{0.8 (10^X - 10)^2\}$    
$\displaystyle Y$ $\displaystyle = 2 \log_{10} (10^X -10) + \log_{10} 0.8$    

$ Y$ $ X$ は線形関数にはならず、図12(b)でも直線ではなく上に凸な曲線になっている。しかし$ X$ が大きくなるにつれて式3の直線に近づいていく。$ x$ 方向にゼロ点がずれると$ X$ が小さな領域では直線とならず、$ X$ が大きくなるにつれて直線に近づくことが分かる。

式(11)を変形する。 $ x = 10 ^X、 y = 10 ^Y$ を代入し、両辺の10の対数を取る。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 x^2 + 2000$    
$\displaystyle 10 ^Y$ $\displaystyle = 0.8 (10^X)^2 +2000$    
$\displaystyle \log_{10} 10 ^Y$ $\displaystyle = \log_{10} \{ 0.8 (10^X)^2 +2000 \}$    
$\displaystyle Y$ $\displaystyle = \log_{10} \{ 0.8 (10^X)^2 +2000 \}$    

$ Y$ $ X$ は線形関数にはならず、図12(b)でも直線ではなく下に凸な曲線になっている。しかし式(10)と同様に$ X$ が大きくなるにつれて式3の直線に近づいていく。$ y$ 方向にゼロ点がずれた場合でも$ X$ が小さな領域では直線とならず、$ X$ が大きくなるにつれて直線に近づく。

式(12)を変形する。 $ x = 10 ^X、 y = 10 ^Y$ を代入し、両辺の10の対数を取る。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = 1.3 x^2$    
$\displaystyle 10 ^Y$ $\displaystyle = 1.3 (10^X)^2$    
$\displaystyle \log_{10} 10 ^Y$ $\displaystyle = \log_{10} \{ 1.3 (10^X)^2 \}$    
$\displaystyle Y$ $\displaystyle = 2 X + \log_{10} 1.3$    
$\displaystyle Y$ $\displaystyle \simeq 2 X + 0.1139$    

$ Y$ $ X$ は線形の関係となり、図12(b)でも直線となる。表1に示すように$ x$ の係数が変わると両対数グラフ(図12(b))での切片が変わる。

式(13)を変形する。 $ x = 10 ^X、 y = 10 ^Y$ を代入し、両辺の10の対数を取る。

$\displaystyle y$ $\displaystyle = 0.8 x^3$    
$\displaystyle 10 ^Y$ $\displaystyle = 0.8 (10^X)^3$    
$\displaystyle \log_{10} 10 ^Y$ $\displaystyle = \log_{10} \{ 0.8 (10^X)^3 \}$    
$\displaystyle Y$ $\displaystyle = 3 X + \log_{10} 0.8$    
$\displaystyle Y$ $\displaystyle \simeq 3 X - 0.09691$    

$ Y$ $ X$ は線形の関係となり、図12(b)でも直線となる。表1に示すように$ x$ の指数が変わると両対数グラフ(図12(b))での傾きが変わる。

べき関数は両対数グラフで、定数が変わっても直線で表されるが、$ x$ 方向や$ y$ 方向にずれた場合には値の小さな領域で直線から外れる。

図 12: 対数-対数グラフでの比較

\begin{subfigure}
% latex2html id marker 786 [b]{0.5\linewidth}
\centering
\in...
...ce{3mm} %pdfでのみつまる対策
\caption{線形グラフ}
\end{subfigure} 
(a) 線形グラフ

\begin{subfigure}
% latex2html id marker 793 [b]{0.5\linewidth}
\centering
\in...
...3mm} %pdfでのみつまる対策
\caption{両対数グラフ}
\end{subfigure}
(b) 両対数グラフ
 


next up previous
Next: A. おまけ Up: 2.3 詳細な性質 Previous: 2.3.1 線形-対数 片対数グラフ

関連する記事

・この記事の新しい版
対数グラフ 2020.03.25版




この図を含む文章の著作権は椿耕太郎にあり、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に公開する。最新版はhttp://camellia.thyme.jpで公開している。