全体で断熱された系の中に、複数の熱源とサイクルがある場合を考える。
n個の熱源でエントロピーを
と定義した場合に、次式のように全体でエントロピーが増大すると仮定する。
上式が成り立つ場合に、n+1個の熱源でも次式のようにエントロピーが増大することを示す。
このことが示せれば、一熱源、二熱源では成り立つことをすでに示しているから、エントロピーの増大が複数熱源で一般的に成り立つと言える。
図2.15に示すように、n+1個の温度の異なる熱源と、その全ての複数熱源と熱交換をする複数熱源サイクルM、熱源nと熱源n+1の二つのみを熱源とする可逆サイクルRを考える。それぞれの熱源の温度は
、
、、
、
、サイクルMと熱源とで作用する熱を
、
、、
、
、可逆サイクルRが熱源、熱源とやり取りする熱をそれぞれ
、
とする。
熱源のエントロピー変化を考えるので、熱は熱源が受け取る向きを正とする。熱が正となる向きを矢印の向きとしている。
可逆サイクルRと複数熱源サイクルMは、熱源n+1と同じ大きさで違う向きの熱のやり取りをさせる。式で表すと次式となる2.22。
複数熱源サイクルM、熱源n+1、可逆サイクルRをまとめて一つのサイクルとして考えると、式(2.21)の
の項はサイクルMと可逆サイクルRでの熱の和で
となり、次式が成り立つ。
可逆サイクルRは熱源と熱源の二つを熱源とするため式(2.14)が適用できる。
式(2.23)へ代入する。
式(2.22)により次式を得る。
これで、複数熱源でも正しい時間の流れ(熱力学第二法則に反しない場合)ではエントロピーは増大することが確認できた。
脚注
- 2.22
- それぞれのサイクルの仕事の大きさが違う場合は、同じサイクルを複数個まとめて動作させて、それぞれの数を調整し、総計で同じ仕事となるように調整する。
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