運動エネルギー

床の上の荷物に力を加え仕事を作用させると動き出す。このとき熱力学第一法則からエネルギーが保存され、仕事は運動エネルギーへと変わることから運動エネルギーの大きさを求めていく。 図1.7のように、速度$v_0$[m/s]で運動している(状態0)質量$m$[kg]の物体に力$F$[N]で仕事$W_{01}$[J]をして速度が$v_1$[m/s]に変化した(状態1)際のエネルギーの変化を示す。状態0での運動エネルギー$E_{運, 0}$[J]からされた仕事分$W_{01}$[J]だけ運動エネルギーが増加し、状態1での運動エネルギー$E_{運, 1}$[J]となる。

$\displaystyle E_{運, 1} - E_{運, 0}$ $\displaystyle = W_{01} \hspace{60pt} 状態0から状態1までの区間で積分$    
  $\displaystyle = \int_0^1 \delta W \hspace{40pt} ここで式\eqref{eq-Work}で変形$    
  $\displaystyle = \int_0^1 F \mathrm{d}x \hspace{35pt} ここで力の定義である F = m \frac{\mathrm{d}v}{\mathrm{d}t} を代入$    
  $\displaystyle = \int_0^1 m \frac{\mathrm{d}v \mathrm{d}x}{\mathrm{d}t} \hspace{20pt} ここで\dfrac{\mathrm{d}x}{\mathrm{d}t}=v で変形$    
  $\displaystyle = \int_0^1 m v \mathrm{d}v$    
  $\displaystyle = m \int_0^1 v \mathrm{d}v$    
  $\displaystyle = m \biggl[\frac{1}{2} v^2 \biggr]_0^1$    
  $\displaystyle = \frac{1}{2} mv_1^2 - \frac{1}{2} mv_0^2$    

この $\dfrac{1}{2} mv^2$[J]が運動エネルギーである。仕事をされることにより物体の運動エネルギーは増加する。
図 1.7: 運動エネルギー
\includegraphics[width=60mm]{figures/KineticEnergy.pdf}

運動エネルギーは直線的な運動(並進運動)だけではなく、太陽の周りを回る地球のように円運動(公転)をしている物体や、地球の自転のように回転している物体も保有している(図1.81.3

図 1.8: 回転による運動エネルギー
\includegraphics[height=40mm]{figures/KineticEnergyRotation.pdf}



脚注

...fig-KineticEnergyRotation) 1.3
角速度$\omega$により回転している物体の回転による運動エネルギーを次式のように表すことができる。

$\displaystyle E_{運,回} = \int \frac{1}{2} r^2 \omega^2 \mathrm{d}m$    

回転は重心を通る軸を中心とする。物体形状と軸の向きで、同じ回転速度でもエネルギーが異なる。
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